方位磁石の指す方向。
第11章 scene 10
二宮side
あれから、
翔さんとの日常はそれなりに安定していた。
だって、今この瞬間も───
「ぅあっ…」
一線を越えてしまった俺達は、
いつしか、言葉なんて要らないくらいに
お互いのことをわかっていたんだ。
だから今はこの行為…愛を確かめることしか、
それに没頭することしかできなかったんだ。
───要は、言葉だけじゃ
足りなくなってしまったんだ。
だからと言って、欲望をぶつけ合うだけの
本能的な行為をしているわけではないんだ。
「…二宮、夕飯どうする?」
「あー、帰るから大丈夫。
翔さん家に迷惑かけちゃうからさ…?」
「…バカ。お前は俺の恋人なんだから
気ぃ遣うなっての…」
ぐしぐしと頭を撫でられて、
思わず微笑んでしまう。
「くふ、いいの。
俺今日、智にご飯作んなきゃだし。」
「あー、そっか。
じゃあ今日は───…っわ、」
翔さんの首筋まで背伸びして、顔を埋めた。
「ん、どーした?」
「好きだなって思っただけ。」
「ふは、俺もだよ。
お前のことすげー好き。」
…わかってる。
わかってるけど、そんな言葉だけじゃもう、
俺の心は満たされないんだよ。
あれから、
翔さんとの日常はそれなりに安定していた。
だって、今この瞬間も───
「ぅあっ…」
一線を越えてしまった俺達は、
いつしか、言葉なんて要らないくらいに
お互いのことをわかっていたんだ。
だから今はこの行為…愛を確かめることしか、
それに没頭することしかできなかったんだ。
───要は、言葉だけじゃ
足りなくなってしまったんだ。
だからと言って、欲望をぶつけ合うだけの
本能的な行為をしているわけではないんだ。
「…二宮、夕飯どうする?」
「あー、帰るから大丈夫。
翔さん家に迷惑かけちゃうからさ…?」
「…バカ。お前は俺の恋人なんだから
気ぃ遣うなっての…」
ぐしぐしと頭を撫でられて、
思わず微笑んでしまう。
「くふ、いいの。
俺今日、智にご飯作んなきゃだし。」
「あー、そっか。
じゃあ今日は───…っわ、」
翔さんの首筋まで背伸びして、顔を埋めた。
「ん、どーした?」
「好きだなって思っただけ。」
「ふは、俺もだよ。
お前のことすげー好き。」
…わかってる。
わかってるけど、そんな言葉だけじゃもう、
俺の心は満たされないんだよ。