テキストサイズ

方位磁石の指す方向。

第12章 scene 11

二宮side



「ぅおっ、和、どうした?」

「…あー、おはよ…。」

「クマやばいよ、なんかあった?」

「へへ、なーんもないよ…。」


渇いた声しか出なくて、
情けなくなる。

翔さんとの電話のあと、
わんわん泣いて声が枯れたなんて言えない。


…あぁ…どうしよう。

すごい、心臓がバクバクしてる。


昨日のことちょっと思い出すだけで、
顔があっつくなる。


「……はぁ、」




どーしよ、俺……。

前より、『強欲』になってる。


会いたい気持ちが強くなって、
会えないと悲しくなる。

声が聴きたいけれども、
俺たちの適切な距離を保つためには
今はもう少し離れていないとダメなんだ。

だって俺…

翔さんに会っちゃったら
どうなるか分かんないんだもん。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ