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方位磁石の指す方向。

第13章 scene 12


櫻井side


「夏祭り?」

「うん、翔さんと一緒に行きたい。」

「おっ、ラブラブじゃんかぁ」

「智っ!」


顔を赤くさせて智くんを叩く。

一つ一つの言動が可愛すぎるんだよな。
コイツは。

しかもそれに無自覚だから尚更だ。


「…いいよ。行こっか。」

「っ、うん…!」


嬉しそうにキラキラした笑顔を向けて

「約束だから!」

なんて念押す。


「おうおう、わかってるよ。」

よしよし、と頭を撫でてやれば
ふふ、なんて可愛い笑い方をする。


…好きだなぁ、コイツのこと。

俺、どんだけコイツのこと好きなんだろう。
気が付かないうちに
どんどん好きになってる。

こりゃ相当二宮にハマってるな。


「あ、翔さん浴衣着てくる?」

「持ってねぇ。」

「そっか。じゃあ俺も私服で行く〜」

「…二宮」

「ん?」

「…誘ってくれて、ありがとな。」

「ふふっ、何言ってんの。
…どういたしまして。

だって、夏くらい思い出作りたいじゃん?
…好きな人とさ。」


なんて。

可愛すぎか。


「おう、そうだな。」

「…ふふ、翔さん大好きだよ。
楽しみにしてるね。」

「おうよ。」

「じゃあ、今日一緒に帰ろうね。」

「ああ。」


そうだ。
もう終業式か…。

俺もう高三なんだから、
この夏休みあんまり二宮と会えないかもな。


なんて考えながら、
教室へ向かった。

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