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方位磁石の指す方向。

第13章 scene 12




一度二宮のことを考えると、
頭から離れなくなる。

もちろん、授業も上の空のまま。

こんなんじゃダメだと思ってるし、
わかってはいるのに、
どうも授業が身に入らない。

どうしたもんかと
勉強以上に考え込んでしまう。

こんなんじゃなかった。
前までは。


二宮のことでこんなに思い詰めたり、
考え込んだりしなかったのに。

最近の俺は、いろいろ変だ。

暑いから、とか、
気温差が激しいから、とか。

思考回路が覚束無いのは、
そのせいなんだろうか。


「…はぁ」


未だに白紙のプリントを見て、
また、溜め息。

早く問題を解かないと、
課題になってしまう。

それだけは避けたい。


働かない頭でざっと目を通しても、
それらを解く気にはなれない。

どうしても、心が、体が、
会いたがっているんだ。

…二宮に。

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