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方位磁石の指す方向。

第14章 scene 13


二宮side


自分から「お祭りに行こう。」なんて
誘ってみたけれど、
それ以外は進展なし。

お祭り当日になっちゃったけど、
翔さんからは連絡なんて来ない。

…忘れちゃったのかな。
受験勉強で忙しいのかな。


「…あ。」


画面に表示された、“翔さん”の文字。

いつもそうだ。

俺からは何も出来ないけど、
連絡をくれるのは翔さんばっかり。

画面を消えないうちにタップすれば、
いつものトーク画面。


『今日何時集合?』


そうだ。
なんにも決めてなかったんだ。


「どうする?
俺はいつでもいいよ。」

すぐに既読がついて、
ちょっと間を置いてから

『今から会えないの?』

なんて。


…今から会うつもりで、いたのかな。

俺、まだ準備できてないんだけど…。
翔さんは、準備できてるのかな。


「翔さん準備できてるの?」

『できてるけど。』

「俺まだできてないから、
俺ん家来てよ。」

『今から行く。』


こんな普段と何も変わらない会話でも、
翔さんと話せたことが嬉しい。

翔さんが来る前に、準備しなくちゃ。

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