方位磁石の指す方向。
第14章 scene 13
うーんうーん、なんて、
漫画みたいに唸りながら考える。
最近夜はちょっと寒いから、
半袖じゃない方がいいかな。
でも、もし暑かったら…?
…どうしよう。
「…わかんないなぁ。」
天気予報を調べてみるけど、
いまいちピンと来ない。
…とりあえず、長袖にしようかな。
暑かったら捲ればいいや。
「よし、大丈夫。」
変なところなんてきっとない。
あったら教えてもらおう。
麦茶もあるし、お菓子もあるし、
いつ翔さんが来ても大丈夫。
まだかな、まだかな。なんて
ソワソワしながらリビングで待っていた。
彼氏を待つ、って考えたら、
自然とニヤケちゃいそうだ。
「…ふふ。」
早くあのいい匂いを嗅ぎたい。
抱き締めたいし、キスだってしたい。
「あ、」
画面に表示されたさっきのトークルーム。
『雅紀と会ったから
今から雅紀と向かう。』
…なーんだ。
ふたりっきりじゃ、ないのか。