方位磁石の指す方向。
第1章 scene 1
あーはいはい。
わかりました。
智くんの従兄弟の二宮和也くんね。
全然似てないけど…。
「…多分、初めまして。」
「…………。」
「ほら、和!
ちゃんと挨拶して!」
智くんに怒られたからか、
渋々挨拶を始めた。
「…初めまして。
……名前は?」
「あ、櫻井翔。」
「…二宮和也。」
「「……。」」
……俺、コイツとは気が合わねえ。
直感でそう感じた。
「…翔ちゃん、雅紀、
予鈴鳴っちゃうよー?」
「うぇ?」
雅紀が変な声を出して
腕時計を見た。
それに釣られて、
俺を時計を見た。
……あ、やば。
予鈴が鳴るまで
あと五分ってとこだろう。
「……走ろっか?」
「そうだね……。」
俺たち三人は走り出した。
……てか、二宮は?
制服、同じだよね?
てことは一年?
……え、新入生じゃん?
入学式始まるよ?
……え!?!?
俺は来た道を戻って
突っ立ってる二宮の
腕をしっかりと掴んだ。
「え、あの……」
「ちゃんと掴まっててね?
これから近道通るから!」
「え、あ、はい…」
二宮の腕を掴み、
俺らは近道を通った。