方位磁石の指す方向。
第3章 scene 3
もう、六月なんだ。
翔さんと出会ってから、
そんなに経ったんだ。
毎日が飛ぶように過ぎて、
バカやってれば次の日が来て。
「…和くーん?」
「あ、いばさん…っ」
「え!?どうしたの!?」
「…俺、やっぱり…」
「え、ちょ、ちょっと待って!
智~!?!?」
相葉さんにぎゅっと抱きついた。
そしたら、優しく頭を撫でてくれた。
「…ふふ、和くん可愛い。」
「うるさい。」
「んふふ。
翔ちゃんに見せたらどうなるかなぁ。」
「っ!だめ!絶体だめ!」
「いてっ!」
相葉さんから離れて、
頭を叩いた。
相葉さんは頭を押さえて
智の名前を呼ぶ。
「智のこと、好きなんだね。」
「えっ、…まあ、ね。
引くよね?普通。」
「ううん。
俺も翔さんのこと、好きだもん。」
「マジっ!?
翔ちゃんかぁ。
脈アリだと思うよ?」
「ほんと?」
「うん。」
「なんの話~?」
智がぬっと扉から顔を出した。
「智、あのさ…」
「んー?」
いけっ、相葉さん。
「和くんってさ、
翔ちゃんのこと「わぁあぁあ!バカ~!」
なに言ってんだ!バカ!
相葉さんの腹に膝蹴りをいれて、
深呼吸する。
「知ってるよ。
だって和、翔ちゃんのこと大好きじゃん。」
「っ!?」
「そんなことかよぉ、
とっくのとうに知ってるよ?
てか、雅紀~?大丈夫かぁ?」
相葉さんの体を揺さぶる。
そしたら、ぱちっと瞼が開いた。
「智~!和くんひどい!」
「いや、雅紀が悪いだろ。」
「ええっ!?」
「あ、和、翔ちゃん呼んどいたから。
俺って気が利くだろ?」
「はぁ!?」
智は相葉さんと自分の部屋に
行っちゃったし。
…はぁ!?
え、翔さんが来るってことだよね!?