方位磁石の指す方向。
第17章 Last scene
櫻井side
がらりと変わった生活。
いつもと同じように二宮が
コーヒーを淹れてくれる。
松本に薦められた豆が
気に入ったらしい。
「ん、これも美味しいな…」
また、松本に貰ったんだろう。
「でもこれ、
きっと翔さんは好きじゃないなぁ」
「どれどれ」
「あっ、ちょ、」
一口、飲んでみる。
「…まっず」
「ほら、言ったのに」
「酸っぱ…」
「翔さん酸味のあるコーヒー嫌いだもんね」
“ほら、大人しくそれ飲んでなよ”
飲みかけのコーヒーを指さす二宮。
「翔さん、飲み終わったら
洗濯物畳んでおいてね」
「おー」
“なんか結婚したみたいだな”
特に意識もせずに放った言葉。
その言葉に、二宮は顔を赤らめて。
「狙ってるの?」
と一言。
「そんなことないよ」
「嘘だあ、俺を困らせようとしてる」
耳まで赤くなった二宮を抱き締めて、
そっと囁く。
「好きだから困らせないよ」