方位磁石の指す方向。
第17章 Last scene
「バカ言ってないで大学行ってきなよ」
ぷいっと顔を逸らされてしまう。
そんな甘酸っぱい雰囲気の中、
ふと俺の携帯が鳴る。
「あ、今日サークルの飲み会だ」
「えっ、聞いてないよ」
「今連絡きたから」
「女の子だってくるでしょ?」
「うん、くるけど」
「…やだ」
さっきまでの意地っ張りは
どこへ消えたのか、
今度は俺の服を引っ張る。
「だめだよ、早く帰ってきてね」
「終電までには帰るよ」
「そんなに遅くなるの?」
いやいや、と首を横に振る二宮。
ちょっとだけ瞳が潤んでいる。
そんな姿も可愛いと思ってしまう俺は、
末期だろうか。