方位磁石の指す方向。
第17章 Last scene
まだ数回しか歩いたことのない道。
昼間と夜間では全く雰囲気が違う気がする。
昼間は人がまったくいなくて、
静かなのに。
夜間はどうしてこんなにも、
ネオンの掲示板が目立つんだろう。
隣の二宮は、
寒そうにきゅっと身を縮こませている。
「もうすぐだよ」
返事はない。
でもきっと、
俺のことしか考えてない。
だって俺も、二宮のことしか
考えていないから。
「なあ」
「うん?」
「俺らさあ、まだ3年くらいしか
一緒にいねぇんだな」
「…うん、そうだけど?
それがどうしたの?」
不思議そうに、
俺の顔を覗き込んでいるのがわかる。
あえて目は合わせず、
そのまま話す。
「お前と一緒にいる時間が長すぎて、
なんかセンチメタルになってる」
「ふふ、なにそれ」
「やべーんだわ」
「なにがよ」
「お前のことが好きすぎて、
やべーんだよ」
「…ふふ、ありがとう」
もう照れてくれないんだ。
なんて、ガッカリしてるのはなんでだろう。