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方位磁石の指す方向。

第4章 scene 4

二宮side



いちいちなんにでも
嫉妬してる自分が
恥ずかしいから。

ブランコをこいで
気を紛らわせた。


「…二宮、」

「なに。」


恥ずかしくて、
返事がぶっきらぼうになる。


「…翔さんの手、
可愛いね。」

「…バーカ。」


ブランコの鎖につけていた
手が翔さんの手に
包み込まれた。


「俺は男だよ。
バーカ。」

って、至近距離で言われてから
顎を掴まれて、
無理矢理上を向かされて。


…あ、キスする…って思って
目を閉じた瞬間――…



「引っ掛かったな。」

って声がして。


え?って思って目を開けたら
翔さんが悪い顔してた。


「えっ、えっ?」

「ふ、キスすると思った?
残念。しませんよ~」


…騙された。


「ばっ、バカ!」


顔が赤くなってるのは、
夕日のせいだ。…たぶん。


「…物欲しそうな
顔してんじゃん。」

「ちょ、やっ、」


唇をつーっと撫でられて
また、顎を掴まれた。


顔がどんどん赤くなるのが
わかるから嫌になる。


「…やだ、」

「ふふ、可愛い」


俺のたちの影が
ゆっくり重なる。



ちゅ…っと
音を立てて離れた唇。


「……ん、」


また、隙間もないくらいに
くっ付けられた唇。


「ねえ、…和也。」

「えっ…」


びっくりして、
目を見開いてしまった。



「…二人っきりの時は、
そう呼んであげる。」


って、ちょっと悪い顔して

「じゃあな。」って
帰っちゃった。

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