テキストサイズ

方位磁石の指す方向。

第4章 scene 4

櫻井side



あの顔は反則だと思う。
いつもいつも。

顔を赤くさせて
耳まで真っ赤にさせて。

あのうるうる瞳が
いつも俺を捉えてる。


「…はぁー」


ほんっとに、
自分の可愛さに
無自覚なヤツで。


……でも、
そこが可愛くて、
ついついいじめてしまう




「…翔ちゃん?」



声のした方を振り返れば
俺が今、会いたくない人。



「す、凉帆…」

「あー、やっと会えた。
いつもこの時間に
帰るんだ?

私延部だからさぁ
時間いつも会わないなぁ~って。
よかった。会えて。」


にこって昔と変わらない
笑みを浮かべて、
近づいてくる凉帆。


「ねえ、翔ちゃん。
…手紙読んでくれたかな?」

「…っあ。」


…そうだ。
すっかり忘れていた。


「…その様子だと、
読んでないっぽいね?

…もう。バカ。
何年想ってると
思ってるの?

何年待たされたと
思ってるのよ?」



ばあかって舌を出して
スポーツバックを
俺にぶつけてくる。


「いてえよ!やめろ。」

「ばあか。
サッカー部のくせに
全然カッコよくないじゃん。
ばああか。」

「んだと。」


…あぁ、

やっぱり。



コイツと話していると
二宮と比べてしまう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ