方位磁石の指す方向。
第4章 scene 4
二宮といる方が
居心地よくて。
話しやすくて。
「…あー、俺、急いでるから。
またな。」
「…うん。……翔ちゃん!」
歩こうとしたら、
引き留められた。
「私、まだ好きだから。
約束、忘れてないから…」
「……約束?」
約束って、
なんのことだ…?
「あの……これ、」
凉帆が取り出したのは、
一枚の古い紙。
「これ……覚えてるかな。
昔、……一緒にタイムカプセル
埋めたよね。
そのときの…約束の手紙…」
「……え?」
……タイムカプセル…
そうだ。
智くんと凉帆と一緒に
埋めたんだ。
また、出そうねって。
「私……翔ちゃんとの約束、
覚えてるんだからねっ!」
そういい放ち、
凉帆は走ってしまった。
「……さっすがバスケ部、
足はえーなぁ…」
変なとこに感心しながら
俺は考えた。
昔した約束…
…大きくなったら、
結婚しようっていってたヤツ。
…でも、俺には――…