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方位磁石の指す方向。

第5章 scene 5

櫻井side



「んぁ?」


朝起きれば、
スマホが点滅してる。

メッセージが来てんだな、って
思って緑のアイコンを押せば、
大切な人からのメッセージ。


『お弁当作るから!』

『試合前に会えるかな?』


なんて書いてあった。


…くそぅ。

朝からなんて嬉しいことを


『ありがとう。』


それだけ打って、
リュックの中に仕舞いこんだ。

とにかく、

朝からこんなに幸せだと
サッカーに支障が出る。


「母さん、俺、弁当いらないから。」

「あらっ、そう?
じゃあお父さんに渡しましょ。」



親がサッカーの試合に
来るなんて、小学生までだった。

…まぁ

父さんは仕事柄、
そんな暇ない人で
母さんもなかなか
忙しい人だから。

仕方ないんだ。





「なーに、アンタ。
まさか彼女にでも
作ってもらってるの?」

「ぶっ!!」



図星だ。



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