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方位磁石の指す方向。

第5章 scene 5






「んじゃあ仕方ねえ。
優しいおにい様が
写真を撮っておいてあげよう笑」

「っ、言い方ムカつくけど
お願いします」

「はいよ。」


そう言うと、
カバンからスマホを出して
カシャカシャと音を鳴らす智。

…ここの席、
見えやすくていいかも。


…翔さん、
ほんとカッコいいな。



「…なんか翔ちゃん、
今日やけに頑張ってない?」

「…俺初めてだから
知らない…」

「いつももっと爽やかだぞ?
今日はなんかすげぇ必死
なんかあったんかな?」



…試合に勝ったら、
デートって約束だから。

だから、
頑張ってくれてるのかな…


「…ふふ、」

「なに笑ってんだおめぇ。
気持ち悪ぃぞ」

「ごめんごめん、ふふ、」


嬉しくて笑いが収まらない。

でも、でも。


負けても勝っても、
何かしらしてあげなきゃね。

だってあんなにも
汗だくになってるし。

それに、あんなに
必死でなにかを出来るって、
すごいカッコいいことだと思うんだ

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