テキストサイズ

異世界での出来事

第6章 非道なる治癒

休憩後は、ご機嫌なスキアが馬車を動かしている。

俺は、ラーシアの膝枕でくつろいでいた。

村に着いた途端に馬車が止まった。

「ん、どうした?」

「大勢の村人で、道が塞がれていますので。」

外を見ると、村長を先頭に大勢の村人が居たので、馬車から降りることにした。

「何かあったんですか?」

「村の皆で、龍之介の帰りを待っておったのじゃ!」

「俺をですか?」

「そうじゃよ、龍之介、教会で上級位になったと報告があったが、本当か?」

「はい。上級位になりました。」

「そうか、それはめでたい。うちの村に医者が居るなんて。」

「これは、この村の願いじゃったんだ。」

「医者がいるだけで、村の格付けがあがるんじゃよ。」

「そうなんですか。まあ、何かあったら言ってください。駆けつけますんで。」

「それでじゃ、腕輪を見せて貰えぬか?」

「村の者の中には信じてない者もいるんでな。」

左手をマントから出す。

「ほーら。やっぱり、シルバーじゃねえか!嘘くつでねーえ!」

「はい?これ、白金製ですよ。」

「そんなの聞いたことねーだ!」

「冒険者ギルドがランクSで、教会ギルドが上級位。共通二つ名ですから。」

「そうか、青年筆頭だな。」

「いいえ、俺は冒険者じゃないんで。」

「ランクSに上級位で、まだ農業をするんか?」

「はい。明日には動物達も来ますし、家も建てないといけませんし。」

「当分は、今の生活ですよ。」

「ところで龍之介、後ろのお嬢さん方は?」

「この二人は...うちで働くために雇いました。」

奴隷って言わないほうがいいよな。

二人の肩身が狭くなってもいけないし。

「それでは急ぎますのでこれにて。」

馬車に乗り込み、我が敷地へ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ