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天気予報の恋人

第11章 chapter 11


「…やっぱいい、何でもない」

真っ直ぐに俺を見たかと思ったら、すぐにそれは逸らされて

…キュッと唇を咬んで、言葉を飲み込んでしまった

「かず?」

言いたい事は、言っていいのに
そうやって抑えるのは、後々苦しくなるんだから


だけど、こうなるとそう簡単に言わなくなるのがかずの困ったところで

…俺はただ、かずの背中を擦る事しか出来なかった



「かず…もう、寝よ?」

かずの体をそっと離す

離れた隙間に、少し冷たい空気が流れ込んだ


布団を捲り上げて、先にそこに横になってから
「ほら」と手を伸ばすと

「うん…」

少し照れたように、かずもベッドに上がってきた

伸ばした左腕に、頭を乗せる

その距離がちょっと遠くて、思わず笑ってしまった

「それじゃ、落っこちるよ?」

肘を曲げて、かずの頭を引き寄せる
柔らかい髪の毛が、俺の頬を掠めた時

ドクン、と大きく胸が鳴った


やっぱり断れば良かったかもしれない

だって

これで冷静さを保てる程

…俺は大人じゃない



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