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天気予報の恋人

第11章 chapter 11


初めてかずと出会ったサマースクールの、5人で写ってる唯一の写真

リーダーと手を繋いで、はにかんだ顔の潤と
…俺にしがみついて、唇を噛み締めてるかずと

真ん中で皆を抱き締めるように笑ってる翔ちゃんがそこにいた


かずがその写真立てを手に取って、じっと見つめている


「…俺、笑ってないね」

どことなく、寂しそうに呟く

「あの時は…お前、殆どこんな顔してたよ」

不安そうで、寂しげで、怯えてた


「…今は?」
「え?」


「今の俺は…?」

そう言ったかずは今にも泣きそうで
…儚げで

俺は立ち上がると、その俯く頭を自分の胸に引き寄せた


「かずは、かずだよ」
「え?」

胸に押し付けたそれを優しく撫でる


「笑うし、泣くし、怒るし
…何も変わってない

あの時は、ただ表に出にくかっただけだって」


「まーくん…」

力なく下がっていた腕がゆっくりと上がり
俺のシャツの脇をキュッと握りしめると


「俺ね」

胸から頭を離し、意を決したような顔を俺に向けた



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