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天気予報の恋人

第14章 chapter 14


まーくんの隣で、じっと竿を握ったまま
糸の先を見つめている

「なかなか掛からないね…」

もう10分近く、状況は変わっていない



「よっしゃ!」

そのくせ、少し離れたリーダーと潤くんの方は
さっきから喜ぶ声を上げている

「そっちは釣れねぇのー?」
揶揄るように潤くんが言ってくるから

「うるさい!」
思わず俺は拗ねた声を出してしまった

まーくんは何も言わず、ただニコニコと俺の隣にいるから

「まーくん変わってよ…」
面白くなくて、唇を尖らせた

「拗ねないの。…いいんだよ、釣れなくたって」
「だって、あっちはさっきから釣れてるもん」

頬を膨らませる俺に吹き出したまーくんが
一瞬の隙にその頬にキスをしてきた

「ちょっ…!」

まさかの行動に顔が赤くなる
それなのに、まーくんはしれっとした顔で

「ほら、魚寄って来てるよ」
なんて言って、川に視線を移した

俺はと言えば
ドキドキしてしまって、竿を持ったまま固まるしかなかった

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