天気予報の恋人
第17章 chapter 17
涙を溜めた、俺を見つめるうつろな瞳
荒くなった息が少しずつ治まってきたかずを
腕の中に引き寄せた
「…大丈夫?」
「うん…」
赤くなりながらも、しっかりと俺の目を見て頷くかずは
「怖いよ……」
ここで初めて不安を口にした
「かず?」
「…まーくんと一緒なのは嬉しいけど、本当に大丈夫なの?
俺の親の事で、先生達とか皆に迷惑掛けちゃう…」
泣きそうに唇が歪んでいる
かずの『誰も傷付けなくない』気持ちが痛い程分かる
でも…
今回ばかりは、とにかくやってみなければ何も見えてこないんだ
「かず、動いてみなきゃ分からない事はたくさんあるの
俺はね、ただかずを『本来のかず』に戻したいだけなんだ…」
「…俺、おかしいの?」
「違う。小さい頃から『当たり前』にするような経験をひとつひとつやり直すんだよ
…素直に泣いて、怒って、笑って、…我が儘言って、自分の意思を出せるようにしたいんだ」
…『今の自分』に慣れてるからか
まーくんの言いたいところは、あまり良く分からないけど
きっと何かが違うんだ、俺…