テキストサイズ

天気予報の恋人

第1章 chapter 1


この町に引っ越して来たのは、僕が小学校5年生の時だった




「…二宮和也です。よろしくお願いします」

一斉に注目を浴びるなんて、それまで全く経験のなかった僕は

その突き刺さるような遠慮のないたくさんの視線が怖くて

ただ名前だけを言うのが精一杯だった

でもそれはまだ仕方ない事だと受け止めて貰えてた


そして

元々あまり友達を積極的に作るタイプでもなく、内向的な性格もあって

気が付けばあっという間に

僕は「暗いヤツ」だと決め付けられ

小学生特有の、くだらない苛めの対象になっていった。


無視

陰口

嫌な係の押し付け


幸いにも暴力がなかった事は、運が良かったのかも知れない



とは言えまだ幼い僕にとっては

毎日が苦痛で苦しくて



でも悔しいから

泣く事だけは絶対にしなかった


…その代わり

笑う事も、しなくなった


完全に

無気力な子供になった



そんな僕を見兼ねた両親は、夏休みを利用したNPO団体のサマースクールに勝手に申し込み

色々な問題を抱えた子供が集まると言うそれに、半ば強制的に参加させられた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ