天気予報の恋人
第3章 chapter 3
翔先生と一緒に、僕は先生のおうちに連れて来られた。
「ちょっと待っててね。大事なお話してくるから…」
ソファーに座らされた僕の前にジュースを置いた先生は
ニコッと笑って僕の頭を撫でると
電話を持って、足早にドアの向こうに行ってしまった
目の前に置かれた、美味しそうな氷の入ったジュースを両手で持ち上げる。
差してあるストローで少し飲んでみたら
りんごの甘い味が、口いっぱいに広がった。
それがすごく美味しくて
何だかとても優しい味がして
僕はいっぺんに、全部飲んでしまった。
空になったコップの中の氷を
ストローでくるくる回して遊ぶ
そして、溶けて小さくなったそれを
口に入れて、ガリガリと噛んだ
溶けた氷も全て飲み干して
全部空っぽになったコップをテーブルに置いたら
…何だか急に寂しくなった
お母さんは
僕を追い掛けてはくれなかった
僕の手を…簡単に離した
先生と何を話したのかは分からないけど
帰るとき
一度も僕を見てはくれなかった