
天気予報の恋人
第4章 chapter 4
「はい。飲んだら落ち着くよ」
かずが無言で手を伸ばして
それを受け取ろうとしたから
「…何て言うの?」
わざと手を引っ込める
「あ、りがと…」
ちょっとムーッとした顔で
それでもきちんと言えたかずに
「んふ。はい」
今度は素直に手渡した
「…もう、中学生なんだけどな」
なんて、ボソッと愚痴るから
つい笑ってしまった
抱っこされるときは
逆の事を言うのにね
「挨拶は基本、でしょ」
なんて
保護者みたいな事、言ってみたけど
俺だってまだ高校生で
…充分にコドモなんだけどさ
でも
かずは
そこらの中学生よりも
少し幼い部分がある
どこが、と言われると困るんだけど
そう感じる時があって
…だから、つい
小学生の頃の
かずへの接し方が出てしまう
「ねえ、かず…」
「なぁに?」
「…何で、さっき謝ったの?」
「…分かんない」
「え?」
俯いてしまった
何か、言いたげな様子だから
黙って待って見たけど
…結局かずは
何も言ってはくれなかった
