
天気予報の恋人
第4章 chapter 4
玄関に入るとすぐに
かずが俺にしがみついてきた
頭ひとつ分、小さな背丈と華奢な体
胸の辺りに顔を押し付けているかずの髪を
落ち着かせるように、優しく撫でる
「…ごめん、なさい」
消えそうな声で謝ってきた
「中、行こっか」
それには何も言わず、頭を軽くポンポンしてやる
謝罪の理由より、まずは座らせてあげたい
垣間見える
心の闇
それは、まだ俺には見えない
だから
少しでもかずが安心できる人間になりたい
その場所を
作ってあげたい
かずをソファーに座らせてから
俺は冷蔵庫に向かった
りんごジュースを取り出して、かずに持って行く
初めてここに来た日に
翔ちゃんがあげたりんごジュースは
かずの大好物になって
以来、かずが来る時は必ず用意してある
一度、それを知らないで
かずが来る前に飲み干して
翔ちゃんにしこたま怒られたっけ
ふと、思い出して
少し笑えた
翔ちゃんも
かずが可愛くて仕方ないんだよね
