天気予報の恋人
第5章 chapter 5
「なあ、雅紀?」
エンジンを掛けながら、翔ちゃんが俺を見た
「なに?」
「和也くんに…何した?」
「え…」
まさか、キスしちゃったなんて
言える訳ない
適当に誤魔化そうと思って、言い訳を考えてたら
「和也くんから…」
翔ちゃんが言いにくそうに前を見た
そして
車を走らせ始める
その先をなかなか言わない翔ちゃんに
…何だか不安を感じた
「かずから…なに?」
だけど
このままにしておくのも良いわけはない
あまり良い話じゃなさそうなのは
翔ちゃんの表情から見て取れるけど
聞くしかない、と思った
「ああ…んー…と」
それでもまだ、云い淀む翔ちゃんに
「言って、翔ちゃん」
少しだけ、固い声で
だけど、覚悟を決めて…先を促した
「そうだよな。ごめん…
和也くんから…
『チュウは好きな人にするんだよね』って」
やっぱ…
その事、だった