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天気予報の恋人

第5章 chapter 5




日曜日の夕方、

翔ちゃんと一緒にかずを施設まで送った


「来週も、迎えに来るからね」


翔ちゃんの言葉に嬉しそうに頷くかずは

手を繋いでいる俺を振り返った


「俺も、一緒に来るから」

「…うん」


この時間だけはいつまで経っても慣れない瞬間だった


しかも、今回は

俺の態度のおかしさからか

かずが殆ど喋らなくなったのもあって

気まずいまま来週まで離れるのが

本当にいたたまれなかった



いつも以上に寂しそうな瞳は

少し潤んでいて


…思わず俺は、繋いだ手をギュッと握った



「まーくん…」

「ん?」

「絶対に…来てね」

「当たり前だろ?」

かずの言葉に即答したら、少しは安心したらしい

やっと、俺に微笑みかけた


「うん…」

ゆっくりと、手を離す


行こうか、と職員に促されて

かずはこちらを見ないようにして、中に入って行った


扉が閉まったのを見届けてから、

翔ちゃんと俺は

帰る為に車に乗り込んだ





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