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エロース …ときめき探求物語

第5章 欲情の旅の始まりは未亡人から

満の勤務する会社は
丸目フードサービスという
主に野菜を中心とした食材を
レストランチェーンや仕出し店や
料理屋へと卸している会社だ。

満が咲がバイトしていた居酒屋で知り合ったのも
その居酒屋に満が
食材を配達していたからだ。

雅【ミヤビ】とは
まだバイト時代の満が
初めて開拓し卸売りの契約をした店であった。
今は担当を部下に任せているが
満にとっては
思い入れの深い
個人経営の小料理店で
若くして亡くなった旦那ののこした店を
未亡人になった
羽田賀艶子【ハダガ ツヤコ】が切り盛りしていた。

満は同じく取引先の
山安食品に若干のストックがあった
加賀太胡瓜を受け取り
急ぎ雅へ向かっていた。

加賀太胡瓜【カガフトキュウリ】とは…
石川県の加賀地方で栽培されている
極太な形状のキュウリである。

キュウリは通常
ナマで食べるイメージがあるが
この加賀太胡瓜は
煮物として食される珍しい逸品なのである。

雅の艶子の作る
この加賀太胡瓜の餡掛け煮は
この店の看板料理の一つになっていた。



満のクルマが
雅の駐車場に到着したのは
午後3時半を回っていた…。

満は慌てて段ボールに詰められた
加賀太キュウリを
雅の店内に運び込み

『丸目フードです!!この度はご迷惑をお掛けしました!!本当に申し訳ありません!!』

女将の艶子に深々と
頭を下げた…。

『あらあら…。お久しぶりだね咲良くんじゃないの… 』
と満に懐かしさを感じるような
言葉が艶子の口からこぼれた。

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