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エロース …ときめき探求物語

第6章 キスの達人 

『それにしても…今日は暑いわね』

咲は
まだ5月の空を見上げた。

咲の家から
双葉台ニュータウンまでは
徒歩で5分くらい。
咲の勤めている
リラクゼーションテオーリアとは
反対方向に
間田のおじいちゃんちはある。

まるで夏を思わせる太陽に照らされながら
5分歩くと
少し汗かきの咲の肌から
じんわりと汗が出てきた頃に
間田のおじいちゃんが住む
双葉台ニュータウン28号棟に到着した。

『確か、ここの5階の角の512号室だったかな…』

エレベーターのない住宅の5階まで
階段を登り終えたら
咲は汗が吹き出ているのに気づいた。

―――あ!!ここだ。

表札に【間田辰蔵・郁乃】と
なくなった奥さんの名前も書かれたまま…

―――間田のおじいちゃん…
やっぱり亡くなった奥さんのこと
愛してるんだなぁ…

咲はその表札を眺めて
胸がキュイ―――ンとときめいた。

―――私がおばあちゃんになり
いずれ亡くなったとき
満は私を忘れないでいてくれるかなぁ…?
ふと咲は
そう思った…。

そのとき
咲の後ろから

『あれ?たしかあんた… 』
と辰蔵の声が聞こえた。

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