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辰蔵は咲の突然の訪問を
大歓迎してくれた。

出張マッサージを依頼しなくなっていた
辰蔵が気になり訪問してくれたことを
咲から聞いて
辰蔵は
『実はな、春先にそこの階段を踏み損なって少し転んじゃってな…　今は大丈夫なんだけど、しばらく家にいるうちに、マッサージの依頼するのもなんか億劫になってのぉ…』
と咲に
申し訳なさげに答えた。

『あ!!今、辰蔵さんが元気ならそれで安心しました。　ごめんなさいね余計なお節介しちゃって…』
咲はそう答えてから
辰蔵と他愛ない世間話をした。

辰蔵の家の柱に掛かっている
今時珍しい振り子時計が
ボーン…ボーン…
と午前11時を告げた…

するとその時計の音が合図になったかなように
季節外れの
夕立のような激しい通り雨が振りだした。

『ありゃ…雨だね』
辰蔵はベランダにほしてある
洗濯ものを取り入れようとして
立ち上がろうとしたが
なかなか立ち上がるのに時間がかかる

『アイタタタ…　いや…急に立ち上がるには不便じゃね年寄りは…』
と辰蔵が苦笑いを交えて
言葉を発しようとしたとき

『辰蔵さん、私が取り込みますよ――――』
と咲はベランダに出て
雨に濡れながら
洗濯物を取り入れ始めた。
雨は一段と強く振りだして
まるでゲリラ豪雨並みの強さで
咲と洗濯物をビショビショにした………。