君がいるから~Sweet Life~
第9章 3×e
「翔ちゃん終わった?」
最後の段ボールを縛り終えた俺は、後ろにいる翔ちゃんを振り返った
「うん、これで終わり」
あらかたの荷物は既に業者に手配して送ってある
どうしても自分で持って行きたい、車に乗る分の荷物だけが部屋には残されたとこだった
「…なんか、がらんとしちゃったね」
「ん…やっぱ、寂しくなるな」
何もなくなった部屋がやたら広く感じて、二人でついついリビングの端っこに座る
ここに二人で暮らしたのはそんなに何年も経ってないけど
思い出はいっぱい詰まっていて
油断したら、思わず鼻の奥が痛くなった
「楽しかったなぁ…」
翔ちゃんが天井を見上げながら呟いた
「楽しかったねぇ…」
俺も同じように、上を見る
翔ちゃんと再会して、恋人になって
雅紀やにのと知り合って、仲良くなって
偶然にも雅紀と同じマンションに引っ越して
後輩の潤とも親交が続いて
毎日が本当に充実してた
これがずっと続くと思い込んでいた