君がいるから~Sweet Life~
第5章 t
今、目の前には
何とか泣き止んで、俯いたままの二宮がいる
智は、二宮が気になって仕方ないものの
捌きかけの魚を放置するわけにはいかず、いつも以上のスピードで…処理中
俺は、と言えば
どうして良いか分からずに
とりあえず二宮の背中を擦っている事しか出来なくて
…だけど、二宮もおとなしく擦られてるから
あながち的外れではなさそうだ
「…落ち着いた?」
頃合いを見計らって、小さな声で問いかけてみた
「はい…」
頷いてはいるものの、顔は上げない
「何か、飲むか?」
それには、フルフルと首を振った
「翔ちゃん、ビール」
「え?」
いきなりの智の言葉
「にのに、飲ませてあげて?」
「でも…」
いらないって、首振ったよ?…と、智を見たら
「いいから、あげろって」
何だか強い推しに負けた
冷蔵庫から、冷えたビールを取り出して
「はい」と二宮に渡したら
…二宮は、無言でそれを浮けとったと思ったら
一気にそれを飲み干してしまった