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キミまでの距離

第2章 募る想い

a side

時同じく。

はぁー。

ため息をついてるなんて知る由もなく。

同じように目の前の人に言葉を投げ掛けていたなんて。

「翔ちゃん。男の人、好きになったことある?」

「ブッーー!」

翔ちゃんは飲んでたコーヒーを吹き出した。

「汚いなぁ。もー。ちゃんと拭いてよー。」

ティッシュを渡すと、悪りぃ、と口や手を拭いた。

会社の喫煙所。

翔ちゃんは会社の先輩。

すごく仲良くしてもらってるから俺の中では“友達”。

「相葉くん…。」

「はい。」

「恋しちゃったの?」

「うん。たぶん。」

「男に?」

「そう。」

「………」

翔ちゃんは少し間を置いてからポツリポツリと話す。

「まぁ。うん。恋は落ちるもんだからね。仕方ないか。男ってのも。人生、思ってもみないことがあるってことか。
落っこっちゃったの?」

「たぶん。」

「今の関係は?」

「友達?片思いの人?」

「連絡取ってるの?」

「うん。」

「俺、会いたい。会ったらわかるし。」

「えー、マジで?」

「なに…イヤなの?」

「取らないでね。」

「は?」

「好きにならないでね?」

「……わかった。
て!なんだよ、それ。」

へへへ。

だってさぁ。
和、可愛いから。
わんこみたいに。
だから翔ちゃんだって好きになるかもしれない。
男とか関係ないよ、ね?
だって、わんこはメスだから好きとかオスだからダメとかないでしょ?
そうだよ…。
今 腑に落ちた。
俺、頭イイー!

だから悩むのやめよう。

和は、わんこだ。

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