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黒川とぱんぱかぱん!

第1章 何者なのじゃ?


「もう永野君でお客最後だし
残ってるの二人で分けて」


そう言って米子さんと店長は店の奥に戻ろうとしている


「え、それって…もしかしてタダですか?」


「うん、売れ残りあっても困るし…」


「いや、今度は買いにくるって俺言ったし…」


「永野君はなに買いに来たの?」


黒川はやっと俺が求めていた言葉をかけてくた


「フランスパン…」


「じゃあそれだけお金もらうね。あとは二人で分けよう?」


黒川は袋に欲しかったものを詰めると
渡してくれて

俺はそれでも戸惑いながらお金を払った


「ありがとうございました…っと
ちょっと待っててね」


黒川は空の袋を二つとトングを手に
レジから売り場の方に来た


平等に袋に残ったパンを詰め終えると
片方を俺に差し出してくれる


「ほら!遠慮しなくていいよ。
店長も言ってたでしょ?残ってても困るだけだって」


「あ…」


黒川は俺の手を取って強引に袋を持たせた


「ふふっ
じゃあ、私も家帰んなきゃだから」


「ありがとうございました
またお越しくださいませ」


ドアを開けて微笑みかけたまま
俺が外に出るのを待っている


「ありがとう…」


俺はたくさんのパンをもって
店を出るとまた走った

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