ラブリー
第1章 いとしいひと
今日も忙しく過ごして残念ながら日付けは変わってしまった俺の誕生日。
でも…いいんだ。
仕事でも一緒だったから。
ふたりでにのの部屋に帰ってきてささやかながら誕生日のお祝い。
途中で買ったシャンパンを用意してると冷蔵庫からケーキを取り出してテーブルに置いたにの。
あの後、本当に練習してた。
見ないで、って言うから他のことしてたけど。
俺が仕事に出た後もやってたみたいで、後から届いたメール。
『誕生日、楽しみにしといて。』
練習の甲斐あって、
目の前には可愛いおいしそうなケーキ。
「食べるのもったいないね。」
「えー、でも食べて食べて!」
「うん。
あとさぁ…」
「うん?」
「これ食べて…
こっちも食べたい。」
お皿やフォークを並べてるにのの手を取ると真っ赤になって、そっぽを向いたけど、すぐに向き直って俺の口にキスをした。
「食べて…食べて…?」
……
俺、鼻血出てない?
その夜
いとおしい
いとおしくて仕方ない
この子をおいしく食べた。
end.