
ラブリー
第2章 sly
side n
「できてない。彼女なんていないよ。」
その言葉を聞いてホッとしたけど、何度も確認してしまう。
「ほんと?」
「ほんと。」
「そんな信用ない?」
笑ってるけど悲しそうな目をしてる相葉くん。
「そういう訳じゃない。
だって俺が言ったんだから。」
「にのは俺に女の子と付き合って欲しい?」
頭が真っ白になった。
「俺が女の子と付き合って、できるだけ普通の男と変わらないように、って思ってる?にのは?にのは女の子と付き合わないの?」
そこで相葉くんの話に割って入った。
「俺は、」
口を挟んだもののちゃんと伝えられない。
俺の言葉の続きを待ってた相葉くんは一度ギュッと抱きしめてソファに座らせた。
「俺はいいんだよ。」
そう言う俺の肩に腕を乗せて手のひらでさすりながら喋る相葉くん。
「俺、にのにヤキモチ妬かせようとして女の子といい感じなフリしてた。
ごめん。」
肩をさする手は時々、頭も撫でる。
すごく安心して凝り固まった思考とか強がりとか拭い去られていく。
頭を肩に乗せて目を閉じた。
