ラブリー
第3章 la vie en rose
グループでの仕事の後、その日ホテル泊まりだった俺たちはいつもみたいに同じ部屋に入った。
そう、いつも通り。
俺たちは昔っから、どちらかの部屋に入り浸る。
「にのー。
今度のドラマ、にのどんな役ー?」
「んー?」
疲れたぁ、と鞄を放り投げてベッドに寝そべってたにの。
その近くに座って話しかけたら、鞄を引き寄せて中からゴソゴソと台本を引っ張り出した。
にのは少ししたらドラマに入る。
また忙しくなるね。
つまんない、って思いながら渡された台本をペラペラと捲ってると、にのが話し出した。
「なんかさー、」
「ん?」
「キスシーンあるんだって、」
…
「へぇー、」
出来るだけ普通に応えた。
本当のところかなり動揺してる俺を知られたくない。
キスシーンだと?
面白くない。
「聞いてんのか?」
「聞いてるよ。」
「こんなん、マジ勘弁だよな。」
「え?そう?
女の子とキスできてラッキー、じゃないの?」
「は?お前そうなの?」
「いや…」
「人が沢山いるところで…
あり得ない。」
人がいないところではやれんのかよ。
てか、やってるのかよ?