ラブリー
第3章 la vie en rose
悶々としてる俺に不意ににのが体を寄せて、
「ね、キスしよっか?」
イタズラな眼差しで俺を見た。
「は?」
「いーじゃん!
…ね、」
いいともわるいとも言ってないのに、にのは顔を近づけて。
わ…
と思ってるうちに唇が当てられた。
…にのとキスしてる…
緊張して動けなくて息もできなくて。
結局その後、普通を装ってたものの、どうしても意識してしまった俺は、部屋で寝る、って自分の部屋に戻った。
翌日は昨日のことにお互い触れずに過ごした。
実はあんまり覚えてない。
あんまり…というか所々の記憶。
俺はにのをこっそり目で追ったし、ふと目が合うとにのも恥ずかしいのか無言で目を逸らした。
かと思えば意味深に視線を絡ませたり。
とくん
心の中の気持ちに気づいているくせに、向き合うことをしないで、やり過ごした。
それから…
にのが何事もなかったように接するから俺もそうした。
俺はドキドキするするのに疲れたのかもしれない。
普通にバカみたいなことをやったり言ったりして、前みたいに仲のいい友達、仲間、メンバーの位置に収まっている。
これでいいんだ
そう思った。