貴方と私
第10章 涙
「まーいちゃん」
『!?』
ベッドの仕切りのカーテン向こうから
聞き慣れた声が聞こえる。
「真衣ちゃんってば!」
シャッ
カーテンを開けた
『…蓮…くん…』
「真衣ちゃん…?」
『…?』
「何で泣いてんだよ。」
私の目から
一粒の涙がこぼれた。
『あ…いや…、なんでもな…んっ!?』
蓮くんにキスをされた。
優しくなんかない。
激しく、熱いキス。
『んっ…ふぁ…』
「真衣ちゃん。なんでも聞くから。泣かないで。」
『…ごめ…ん…。蓮くんには…話せ…ない…。』
泣きながら必死に答えた。
「…っ。」
『もう…、零嗚と…蓮くん…とは、話さな…い…。』
「なんで…、なんでだよっ!」
蓮くんは、床にあったゴミ箱を蹴飛ばした。
『ビクッ!』
「なぁ、真衣ちゃん、理由は?俺らと話さない理由はなに?」
蓮くんが悲しさと怒りの入り交じった声で聞いてくる。
綺麗に整ってる顔が、
少しゆがんでみえた。
『…ごめ…ん。』
「ごめんじゃ…わかんねぇよっ!」