こうするしかなかったんだ
第2章 入学式
姫葵は突然黙って葉月を見つめる。
心臓に悪いな…こんなキラキラしてて大きな瞳で見つめられたら…。
「やっと葉月ちゃん笑ってくれた…」
姫葵は安心したように呟く。
「ごめんね、姫葵ちゃん…。ありがとう」
まだよく分からないけど、姫葵ちゃんと仲良くなりたいなって思った。
「ねぇ、姫葵ちゃん。あの来賓の席の右から3人目の人見える?」
「うん、あの赤いネクタイの?」
「よく見てて…。風がふくと頭が…」
部分かつらみたいなのがフワフワしちゃってて。
静かな式なのに思わず声を出して笑う姫葵。
みんなにジロリと見られて真っ赤になって俯く姫葵は下を向きながら。
「葉月ちゃん…なかなかやるな〜」
ってクスクスまだ笑っていて、私はつられないように我慢するのに必死だった。