こうするしかなかったんだ
第12章 苦悩
この手に触れてほしい。
初めて葉月の中で芽生えた気持ちは、少しずつ膨らんでいく。
理由なんかいらないんだ。
流れるまましたくないとか、自分の気持ちの確認とか…そんなのは恐怖心を見ないフリするための言い訳なんだ。
自分が傷付かなくて良いように。
壱聖を真剣に好きな気持ちまで置き去りにしようとしていたんだ。
言葉にするのが苦手な葉月には、壱聖に思いの丈を伝えるのが難しい。
言葉にならない思いは、涙にしかならない。
少し落ち着きたい…そう思ったのが分かったのか壱聖は部屋を出て行った。