こうするしかなかったんだ
第6章 盲目
オリエンテーリング当日。
学校指定のジャージを着なきゃいけなくて。
どうやっても可愛く着こなすことができない服だから、こんな姿先輩に見られたくないと思ってしまう。
だから、せめて髪の毛だけはと思ってシンプルにポニーテールにしてみた。
葉月の全ての基準は先輩になり、先輩に好きでいて欲しい、ただそれだけだった。
確実に葉月は浮ついていて、この学校のオリエンテーリングも先輩がいるから大丈夫という変な自信を持っていた。
そこに自分の判断はなくなっていたし、そんな自分のことも客観的に見ていなかった。
葉月は葉月自身の変化にまるで気付いていなかったのだ。
地図が配られ、ポイントを全員で確認し士気を高めている間、葉月はただ先輩だけを見つめていた。
そしてランチを一緒にしたいなとかあわよくば2人きりになんてことを考えていた時、咲希ちゃんにお尻を叩かれて我に返る。
「葉月ちゃん真面目にやんないと怪我するよ!」
葉月は小さな声で謝りながら落ち込む。
「しっかりね!うちら1年生だし先輩の足引っ張るわけにいかないから」
そうだった。
遅ればせながら気合を入れた。