こうするしかなかったんだ
第6章 盲目
思った以上に山道は歩きづらい。
最初こそおしゃべりしてたけど、気が付いたら会話はなくなっていた。
そんな時空気を変えるように早川先輩が休憩しようと呼びかけてくれて、ホッとした。
倒れた木に咲希ちゃんと腰を下ろして、お茶を飲み先輩を探した。
先輩は休憩しようと声をかけていたのに、自分は座ることなく全員の体調を聞いて回っている。
次は私たちのところに来た。
「お疲れ様、大丈夫?」
「大丈夫です。先輩こそ大丈夫ですか?」
「俺はもう3回目だしね、大丈夫。じゃしっかり休んで、あと5分したら出発するからね」
頭をポンポンしてくれて他の人の所へ行っちゃう先輩。
「私〜邪魔だったみたいねぇ…」
咲希ちゃんは楽しそうに笑って言った。
「そんなわけないでしょ!」
真っ赤な顔で否定する葉月を見て咲希はずっと笑っている。
楽しそうだからま、いっかと思ってしまう。
「早川先輩って本当すごいよね…私たちも3年になったらあんな風にできるのかな…」
「できたら良いよね」
こんな場でもずっと笑顔でみんなを安心させてくれる人なんだと、更に好きになる葉月だった。