こうするしかなかったんだ
第8章 突撃
家の中に入り、リビングのソファに座ると、壱聖がお茶を用意してくれた。
「先輩ごめんなさい。逃げるようなことして」
「いや、俺が悪かったよ。気を遣わせてごめん」
素直になろう。
壱聖も葉月もそう決めていた。
「明日誕生日なんだよね?」
「はい」
「どっか行こうか」
「でも…」
「葉月ちゃんの16歳の誕生日は明日しかないでしょ?大事な日だから一緒に居たい」
「先輩…」
「教えてくれなかったことは怒ってるけどね」
そう言って笑う壱聖。
「それと、勉強はさ、2人でもできるし。俺も葉月ちゃんに教えるの復習になるから、一緒にできるときは一緒にやろう」
嬉しすぎて返事ができない。
そんな葉月が可愛くて、壱聖は強引に抱きしめた。