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手紙~届けられた想い~

第1章 手紙~届けられた想い~

 そして放課後。

「沙由希、帰ろう?」

「うん」

「……」

 しばしお互い沈黙。

「あのさ」

 先に沈黙を破ったのは、大樹だった。

「なに?」

 不安になりながらも聞く。

「ごめん」

 大樹は、ポツリと言う。

「えっ? 何が?」

 意外な言葉でびっくりした。

「俺、約束守らなくて」

「うん」

「俺が振った本当の理由。沙由希の気持ちが見えなかったからなんだ」

 目から涙が零れ落ちた。何か言わなきゃと思うけど言葉が出てこない。

「だけど、沙由希の本当の気持ちが今日の手紙でわかった。ありがとう」

 大樹は、優しい目をして私を見る。そして続けた。

「それでな、わがままだってわかってるけど、もっかい俺と付き合ってくれるか? 今度は、絶対に離したりしない。沙由希の隣にいたいんだ」

「はい」

 大樹の真剣な眼差しに吸い込まれ、そう答えるのがやっとだった。悲しいわけじゃない。嬉しいのに次から次へと涙が溢れ出す。

「もう、泣くなよ」

 大樹は、そう言うと私にキスをする。

「ンッ……」

 驚きのあまりに止まる涙。愛してると大樹が心の中で言ったのが聞こえた。だから私も愛してると気持ちから伝える。

 そして、唇を離して私に微笑みを向けた。

「沙由希の気持ちを伝わってきた」

「私も」

 照れながら同時に言う。

「愛してる」

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