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手紙~届けられた想い~

第1章 手紙~届けられた想い~

次の日、朝早くに学校に向かった。教室につく。誰もいない。私は、プレゼントの入った手紙を、そっと大樹の机の中に入れる。

 時間は、あっと言う間に過ぎた。そして朝のホームルームが始まる直前に大樹が来た。

「川上くん、おはよ」

「あっ、あぁ」

 やっぱりお互いぎこちない。
 大樹は、置き勉をしている。だから朝のホームルームで机の中を見ることは、ない。

 そして授業、大樹が机の中に手をかける。手が止まる。手紙に気付いた。

 ちらっとこちらを見たが、すぐに手紙を開ける。コロンッと音を立てて、プレゼントが落ちた。

「あっ……」

 大樹は、そう言って拾うと手紙に気づき開く。

 少しして私は、ぎこちなく隣を見る。静かに泣いていた。目が離せなくなった。大樹の泣き顔なんて、初めて見たから。

「おぃ! よそ見してないでこの問題解け!」

 ムードを壊す先生の一言。

「わかりません」

 私は、一言で答えた。

「話聞いとけよ! ただでも千葉(チバ)は、進級、危ないんだからな!」

 一同爆笑。

「ごめんなさい」

 泣きそうになりうつむいた瞬間、見覚えの無い紙が置かれていた。その紙を開く。

“放課後、話したいことがある。一緒に帰ろう? 大樹”

 大樹を見ると何食わぬ顔で授業を受けている。私は、紙の切れ端に“わかった”とだけ書いて渡した。

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