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レット・ミー・ダウン【ARS・NL】

第4章 モーニングセット【翔】

早朝、私は夫と中学生の息子の朝食とお弁当を用意する。

それが用意できたら、夫と息子を起こす。

「あなた、6時半よ、起きて!」

夫は眠そうに目をこすりながら、起き上がる。

「ヒロト、朝練遅れるわよ、起きて!」

ヒロトはぐずぐずと頭まで布団をかぶった。私は、容赦なくその布団をひっぺがす。

「お母さん行ってくるからね! ちゃんと起きるのよ!」

そう言うと私は、バタバタと家を出て、歩いてすぐの喫茶店に向かう。

蔦がからまった古い喫茶店のドアを開ける。

「おはよう、父さん。」

私は、カウンターの奥で仕込みをしている父に声をかける。

「おはよう、○○。」

私はエプロンと三角巾を身につけ、店の入り口の看板を「OPEN」にひっくり返す。

天井まである棚から、一枚のレコードを取り出しプレイヤーにかける。

レコード針がジリジリと音を立てて、ゆるやかにジャズを鳴らす。

間も無く、常連客のサラリーマンや隠居のおじいちゃんたちが店に訪れる。

「いらっしゃい。トクさんおはようございます。」

「おはよう。○○ちゃん、今日も元気だね。」

「今朝はちょっと暑いですね。」

「もう7月だからな。」

何でもない会話が、ちょっとした会話が、店の中をつないでいく。

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