
レット・ミー・ダウン【ARS・NL】
第11章 サイコロ
〈1〉
出勤前に寄ったベーカリー。
昔ながらの店構えで、時々利用する。
店内に並んだ焼きたてパンの香りに、なかなかチョイスが決まらない。
悩んだ挙句、大好きなメロンパンと、他にはレタスサンド、オレンジのディニッシュをトレイにのせた。
「お客さん、メロンパン好きだねぇ。」
ハの字眉の小柄な店主が微笑んだ。
「これ、サービスね。」
マスターが、そっとラスクを袋に入れてくれた。
〈2〉
ベーカリーの袋を片手に駅に駆け込む。
発車のベルが鳴る列車に向かって走ると、サラサラヘアでスリムな駅員さんが列車のドアを押さえて待っていてくれた。
ギリギリ列車に飛び乗った瞬間、駅員さんはドアを押さえていた手を離した。
「いってらっしゃい!今日も頑張って!」
ガラス越しに見えた駅員さんは、白い歯をのぞかせて手を振ってくれた。
〈3〉
電車を降り、会社近くのシアトル系コーヒーショップに立ち寄る。
カフェモカのトールサイズを注文。
眉の濃いバリスタは、あざやかな手つきでコーヒーを淹れる。
受け取ったカップには、なにやら手書きの
文字が。
「HAVE A GOOD DAY!」
バリスタはパチンとウインクした。
出勤前に寄ったベーカリー。
昔ながらの店構えで、時々利用する。
店内に並んだ焼きたてパンの香りに、なかなかチョイスが決まらない。
悩んだ挙句、大好きなメロンパンと、他にはレタスサンド、オレンジのディニッシュをトレイにのせた。
「お客さん、メロンパン好きだねぇ。」
ハの字眉の小柄な店主が微笑んだ。
「これ、サービスね。」
マスターが、そっとラスクを袋に入れてくれた。
〈2〉
ベーカリーの袋を片手に駅に駆け込む。
発車のベルが鳴る列車に向かって走ると、サラサラヘアでスリムな駅員さんが列車のドアを押さえて待っていてくれた。
ギリギリ列車に飛び乗った瞬間、駅員さんはドアを押さえていた手を離した。
「いってらっしゃい!今日も頑張って!」
ガラス越しに見えた駅員さんは、白い歯をのぞかせて手を振ってくれた。
〈3〉
電車を降り、会社近くのシアトル系コーヒーショップに立ち寄る。
カフェモカのトールサイズを注文。
眉の濃いバリスタは、あざやかな手つきでコーヒーを淹れる。
受け取ったカップには、なにやら手書きの
文字が。
「HAVE A GOOD DAY!」
バリスタはパチンとウインクした。
