レット・ミー・ダウン【ARS・NL】
第11章 サイコロ
押しつぶされそうな悲しみが襲ってきた。
見舞いに行こうにも、病院もわからない。
家族からの連絡を待っても、連絡が来るわけもない。
携帯電話のメッセージアプリだけで連絡を取り合っていただけだったから。
「会社、行かなくちゃ…。」
私は身支度をして家を出た。
あのベーカリーの前を通ると、珍しくシャッターが閉まっている。
「定休日でもないのに…。」
近寄って見てみると、張り紙がしてある。
「勝手ながら本日をもちまして閉店いたします。長らくのご愛顧ありがとうございました。」
達筆の毛筆で書かれていた。
近所の人が立ち話をしている。
店の経営が苦しくて借金が積もり、差押えされたのだという。
「嘘でしょ…。」
私は広がる不安を胸に、まだ復旧していない電車の振替輸送に乗って会社の最寄駅に降りた。
その足で、シアトル系コーヒーショップに向かう。
店内に入るや否や、店員にバリスタが出勤してるか聞いた。
「あー、彼ならお父さんが倒れたとかで田舎に帰りましたよ。家業を継がないといけないって。」
見舞いに行こうにも、病院もわからない。
家族からの連絡を待っても、連絡が来るわけもない。
携帯電話のメッセージアプリだけで連絡を取り合っていただけだったから。
「会社、行かなくちゃ…。」
私は身支度をして家を出た。
あのベーカリーの前を通ると、珍しくシャッターが閉まっている。
「定休日でもないのに…。」
近寄って見てみると、張り紙がしてある。
「勝手ながら本日をもちまして閉店いたします。長らくのご愛顧ありがとうございました。」
達筆の毛筆で書かれていた。
近所の人が立ち話をしている。
店の経営が苦しくて借金が積もり、差押えされたのだという。
「嘘でしょ…。」
私は広がる不安を胸に、まだ復旧していない電車の振替輸送に乗って会社の最寄駅に降りた。
その足で、シアトル系コーヒーショップに向かう。
店内に入るや否や、店員にバリスタが出勤してるか聞いた。
「あー、彼ならお父さんが倒れたとかで田舎に帰りましたよ。家業を継がないといけないって。」