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レット・ミー・ダウン【ARS・NL】

第2章 オニオンリング【和也】

私は突然の和也の言葉に、涙があふれてきた。

「やめてくださいヨ、こんなところで。」

「だって…」

和也は、ペーパーナフキンで私の涙をゴシゴシふいてくれた。

「手、出して。」

和也は、私の左手を取った。

「お互い、気がかわらないウチに。」

和也は、私の左手の薬指にバーガーセットのオニオンリングをはめた。

「何よ、これ…。油でギトギト…。」

「今度、ちゃんとしたの買ってあげマスヨ。」

和也と私は、顔を見合わせて笑った。

「ワタシがアナタの名字になってもいいんデスけど、そしたらワタシ名字も名前も読めなくなっちゃいますカラネ。」

「和也…」

和也は私の手を取り、左手薬指のオニオンリングにそっとキスをした。

結局、会員カードは、直してもらいには行かなかった。

またすぐに、名字を直すことになるのだから…

【オニオンリング・和也】

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